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エチオピア買い付け珍道中#2

エチオピア買い付け珍道中#2


前回のTesti社に続き、珍道中エチオピア編#2。
今回のブログでは新しいパートナーCOQUA社について書いていきます。

まず初めに、COQUA社はいわゆる壮大な規模感のエクスポーターとはまた大きく異なる動きのエクスポーターです。


 - COQUA COFFEE(COQUA Trading PLC) -

COQUA COFFEEは2016年にAnsha Yassin Sulieman(アンシャ・ヤシン・スレイマン)とMoata Raya Abachabisa(モアタ・ラヤ・アバチャビサ)がアディスアベバにて共同で立ち上げた民間企業です。COQUA社の事業の中心には一貫して、品質(評価)を通じて、生産現場と市場を正確につないでいくという考え方があり、「コーヒーの品質(Coffee Quality)」という根幹からCoQuaと名付けられています。

自社で大規模に生産・輸出をするエクスポーターとは異なり、品質やトレーサビリティの改善、品質評価や人材育成、農学の指導やマーケティングなど多岐にわたり、高付加価値の品質に特化したサポート型の側面が強いエクスポーターです。
そんなCOQUA社が一貫して取り組んでいるのは、コーヒーの品質をどう評価し、それをどのようにして生産現場と市場につなぐかという部分。

エチオピアでは、小規模農家が生産の大半を担い、流通の多くがECX(エチオピア商品取引所)を経由して行われてきました。
この仕組みはシステマチックにエチオピアコーヒーを大きく動かす(量を捌いていく)には合理的である一方で、ロットの背景や品質の差異がどこで生まれているのかが見えづらくなるという側面が長くあったことは事実だと思います。
COQUA社はそうした構造に対して、カッピングと品質評価を起点に多岐にわたり「橋渡し」的なポジションとして関わっています。

共同創業者の2人ですが、もちろんそれぞれのバックボーンやストロングポイントが異なります。
この2人の紹介がCOQUA社の動きや強みに直結してくると、彼らとのトリップを通して強く感じたので、ここを少し掘り下げながら、今回のブログでは彼らの紹介をメインにしていきたいと思います。

 

 【Ansha Yassin Sulieman - アンシャ・ヤシン・スレイマン】


まず、Managing Directorを務めるアンシャ氏について。
彼女のキャリアは、エチオピアにおけるコーヒー産業の中でも稀有なものであるといいます。
もともと農学分野の教育背景を持ち、農業生産そのものを理論と実践の両面から学んできました。エチオピアのコーヒー産業では、家業として農業やコーヒーに関わる人々は多い一方で、農学的な教育を基盤に、制度の設計や品質評価の領域まで踏み込む専門家はごく少数だといわれているそうです。
そして、彼女は教育を終えた後に農村地域に入り、農業を含めたコーヒーに関わる実務に携わってきたそう。
ここでの経験が、単なる現場視察や短期プロジェクトなどではなく、農家さんや協同組合と継続的に関わりながら、生産や収穫後の処理の現実を理解していくプロセスだったとしています。
皆さんもご存じの通り、エチオピアでは小規模農家が生産の主体であり、インフラや情報へのアクセスが限定される地域も多い中で、品質改善や向上を目指すには理論だけではなく、現場で何が起きているのかを理解する必要があります。(これは日本における経営陣と現場陣での摩擦の話しに少しリンクするなと思いました)アンシャ氏の農村地域での実務経験は、間違いなくCOQUA社の活動の基盤になっていると思います。

彼女の経歴を特徴づけるもう一つの要素としては、Q Arabica Graderである点。
日本では今ではメジャーとなりましたが、エチオピア国内では取得者は限られているそうで、特に女性のQグレーダーは少数であり、アンシャ氏は単にカッピングができる評価者という立場に留まらず、品質評価を生産現場や人材育成につなげる役割を担ってきた人物として紹介されていたりもします。
彼女がエチオピアコーヒーの品質向上において、農家さんの技術向上支援や、「知識」「評価」「トレーニング」などを結びつける存在として取り上げられている記事もありました。
※ITC(国際貿易センター)などの国際機関による記事
(https://www.intracen.org/news-and-events/news/elevating-ethiopian-coffee-through-knowledge-and-quality?utm_source=chatgpt.com)

カップスコアそのものも大事ですが、それに加え、それをどう生産者や次世代の専門家に伝えていくかという視点や考えが動きとして身近に見えたことが、ポジティブな意味でカルチャーショックを受けた点でもありました。

COQUA社設立以前から、彼女はエチオピアのコーヒー産業の中でトレーニングや品質評価に関与してきて、そうした経験の延長線上に生まれた組織がCOQUA社であり、単なる輸出会社ではなく、品質評価と知識共有を軸にした事業体として位置しているように思います。

 


【Moata Raya Abachabisa - モアタ・ラヤ・アバチャビサ】


そしてもう一人の共同創業者である モアタ氏。
今回のCOQUA社との動きは現地到着以前よりすべてモアタ氏とコンタクトをとってきました。
彼もまたアンシャ氏とは異なる角度からエチオピアのコーヒー産業に関わってきました。
農業を含めたコーヒー分野における、生産支援や品質改善プロジェクトに携わってきた背景があり、国際NGOである「Techno Serve」というプロジェクトにも携わってきたそうです。ここでは農家の生産性向上や、収穫後処理の改善、マーケットアクセスの支援など幅広い分野に関わっていたそう。
Techno Serveのプロジェクトは、短期的な品質改善だけではなく、農家の経済的持続性や組織運営まで視野に入れたものが多いそうで、そうした文脈の中で、現場に近い立場から生産者支援に関わってきた人であると思います。

ここまでの紹介の流れから、COQUA社においてはアンシャ氏が品質評価やトレーニングの側面を担い、モアタ氏が生産現場やプロジェクト実務の側面を担う、というバランスでこの組織が進んできたのかと推測しています。(もちろんお互いの領域にもしっかりと被りながら)
また、2人とも根底にあるものが、エチオピアのコーヒー産業をビジネスだけで捉えるのではなく、品質改善や人材育成を通じて、産地の基盤をどう強化するかという視点で活動してきたところが共通しているなと感じました。

 

この2人のバックグラウンドを辿ると、COQUA社がなぜ品質評価や人材育成、トレーニング、生産支援といった領域に強くコミットしているのかが、個人のキャリアの積み重ねとして理解できると思います。

それは、彼ら自身がこれまで実際に関わってきた仕事の延長線上にある活動こそがこのCOQUAだからだと言える気がしています。

 

今回のブログでは紹介をメインに書いてきましたが、エチオピア、ひいてはアフリカのコーヒーにはなかなか難しいとされてきた「トレーサビリティ」の観点で、
そんな生産現場との距離が近いCOQUA社ならではの現場視察のことを次号では書いていきたいと思います。

 

福島