ホンジュラス買付珍道中

ホンジュラス買付珍道中

|近藤琴音


「The future of coffee is in the past.」

Moysesが口にしたこの言葉はEl Puenteが世界最高の農園の一つと称される所以です。


2026年4月中旬、ホンジュラス西部に位置するMarcalaエリアへ。自分としては初めてMarysabel CaballeroとMoyses Herrera の2人が経営するEl Puente農園を訪問しました。
二人には各国のイベントで何度かお会いしていて、彼らのコーヒーは何年も前から飲んでいました。

大好きなコーヒーの一つ、念願の訪問です。


 

合計で100ヘクタールを優に超える大きな農園。その中で彼らのシグニチャー品種とも言われるカツアイが大きい割合をしめ、Geisha, Java, SL, Batían やPacamara を栽培しています。

モイセスさんがつくるコーヒーの魅力はクオリティだけではありません。バイヤーや飲み手を理解しているからこその工夫がされています。
彼が大事にしていること、それは、クオリティ、生産コスト、そして再現性です。
毎日飲みたくなるコーヒーを、毎日飲める価格でつくる。これは他の生産国でも、生産者との共通理解が難しい部分ですので、El Puenteは作り手にとっても買い手にとってもベンチマークになるような素晴らしい農園だと思います。

また、1番印象に残っているのが彼らの人柄と農園周辺地域においてのポジティブなインパクトです。
これだけ大きい農園を経営するためには、数百人の働く人が必要になります。農園内だけではなく、町を一緒に歩いてる中で二人がたくさんの人から声をかけられたり、談笑する姿を見たりして、彼らの影響力と人々からの信頼を目で見て感じ、人を大切にせずにコーヒー生産はできない、この言葉をまさに体現されていると思いました。


 

モイセスは気候変動や物価人件費高騰、人手不足に対して何年も前から対策し設備投資をしてきました。
乾燥工程には機械乾燥が取り入れられたり、なるべく人が重いものを運ばなくて済むよう機械が導入されていたり、
気温上昇が続く中シェードツリーをしっかり増やしながらコーヒー栽培をしたり。


大量消費社会によって歪められてしまったコーヒー農業のあり方やサステナブルでは無くなってしまっている現状。80年台以降シェードツリーを切り、生産効率重視となってしまった農業からコーヒーの木の病気が蔓延し、生産が不安定になっていることをモイセスは感じでいます。
その中でこれからよりサステナブルにコーヒー生産を続けていくにはなにが大事なのか、それに対してのモイセスの答えが、「The future of coffee is in the past」でした。
生産効率に傾く農業から脱却し、自然環境を大事にしながらコーヒー生産をするという昔のやり方に学ぶ。
農業、プロセス全てにおいて理解度が高いモイセスとの会話は学びが多いです。

 


しかし、こんな有名農園ですら、コーヒー生産で経営が安定し十分な収入が得られるようになったのは、ここ10年以内という現実。それだけコーヒーの価格は生産者たちにとって長年不当なものだった事実を目の当たりにします。

コーヒーの価格が上がってしまったと嘆くバイヤーやロースターをよく目にしますが、それがコーヒーを仕事にする人間として本当に正しいことなのか。

長年の経験と知識、そしてマリザベルとモイセスの人柄が感じられるEl Puenteのコーヒーは自分にとってまさしくスペシャルで最高のデイリーコーヒーです。


みなさんにも飲んで、感じていただければと思います。


横山 史門