Guatemala買い付け珍道中#5
Huehuetenangoの今(1)
先日、片道8時間かけてメキシコの国境と隣接するウエウエテナンゴのトドスサントスエリアの小規模農家さんのところに訪問してきました。ウエウエテナンゴには32の自治体があり、コロテナンゴ、デモクラシア、リベルタッドなどコーヒー栽培に適したマイクロクライメットの宝庫です。
基本的にグアテマラの小農家たちはチェリーまで収穫し、それを大農園に販売することが多いのですが、ウエウエテナンゴでは珍しく小農家たちがマイクロウェットミルを所有しており、自分たちでプロセスを施し、パーチメントまで仕上げて、輸出業者に販売しています。これがウエウエテナンゴの一番の魅力で、本当に小さな農家さんたちが独自にプロセスをしているので、それぞれの特徴がでて非常に面白いエリアです。ある農家さんは、発酵時間が48時間、その隣の農家さんは60時間、乾燥期間も12日間だったり、20日間だったりとそれぞれの気候に合わせて独自のレシピで行われているものが多いため、多種多様なコーヒーに出会うことができます。
さらにグアテマラでは珍しい赤粘土の酸性土壌(大部分は火山性土壌)で、これによりテロワールが表現され、ほかのエリアとは違った香味をもつコーヒーを産み出しています。
そして、今ウエウエテナンゴでも深刻な問題になっているのが、アメリカへの不法移民問題によるピッカーさん不足です。今回訪れた農園でも、まだチェリーがたくさん残っていたため、そこの管理されている従業員の方に聞くと、農園主は1回目の収穫のコーヒーだけ作って、そのままアメリカに不法移民の旅にでたと。。これにより多くのチェリーがまだ残っており、今年はもう追加で収穫できないと。彼によるとピッカーさんたちが約15日間かけて稼ぐ給料70ドルを、アメリカでは1日で稼げると。そして、なぜこんなにも不法移民問題が深刻化したかというと、去年1月にアメリカ大統領に就任したバイデン氏が実は深く関わっています。それまで就任していた元トランプ大統領による厳格な移民政策により、移民する人たちがかなり減っていたのですが、比較的柔和な移民政策を進める現政権により、再び移民の数が増えているのが原因のようです。実際移民の人たちがどのようにしているかというと、命がけでアメリカに渡り、そこで不法に仕事を獲得(雇い主としても安く雇えるメリット)し、そこからグアテマラにいる家族にドル送金していきます。ある程度お金がたまったら、自ら警察に行き自分は不法移民ですと伝えるとグアテマラに強制送還されます。ただし1回目の場合は重罰ではなく、そのままグアテマラの家族のもとに戻れるので、大多数の人がアメリカへの移民を試みるそうです。(※2回目の強制送還の場合は、約10年の懲役)このピッカー不足問題は本当に深刻で、来年も改善の余地がみられないのが現状です。
次の回では、ウエウエテナンゴの麻薬カルテル問題の今について
続きは#6へ
<新たに買い付けたロット>
マウリシオ バスケス - ウエウエテナンゴ - ブルボン - ウォッシュド - アグアカテロット